多々名グスクの記憶を継ぐ祈りの聖地 玻名城之殿(はなぐすくぬとっん)

玻名城之殿(はなぐすくぬとっん)

玻名城之殿(はなぐすくぬとっん)

玻名城之殿(はなしろ・の・どぅん)は、八重瀬町具志頭の林内にひっそりと佇む玻名城部落の守護神を祀る拝所で、周辺の多々名グスク・ハナンダ(自然橋)・白水川の拝所などとともに、具志頭地域の古層の信仰と集落史を今に伝える聖地です。

玻名城之殿は、具志頭社会体育館の駐車場へ上がる階段の途中、木々が生い茂る静かな林の中に位置する。
かつて玻名城部落は多々名グスク周辺に居住していたが、集落移動に伴い新たな守護の場としてこの拝所が造られたと伝わる。

・性格:集落の守り神を祀る御嶽(うたき)
・構造:石積みの祠と周囲の自然林が一体となり、人工物よりも「場の神聖さ」を重視した造り
・雰囲気:観光地化されておらず、鳥の声と風の音だけが響く静寂の空間

この拝所は、具志頭地域の信仰体系の中で「玻名城部落の精神的中心」として機能してきた。

玻名城之殿(はなぐすくぬとっん)

玻名城之殿(はなぐすくぬとっん)

歴史的背景

玻名城部落は、古くは多々名グスク周辺に居住していた。
多々名グスクは花城按司が築いたとされる連郭式の古城で、南山勢力との攻防伝説が残る堅固な城郭である。
集落が現在の具志頭へ移動した際、

・旧居住地の神々を新居へ迎えるための拝所
・集落の守護を祈る場

として玻名城之殿が造られた。
つまり、ここは「移動した集落が古い信仰を継承するための結節点」といえる。

周辺の関連スポット

・多々名グスク
具志頭体育館南側の丘陵に築かれた古城。現在は藪が深く内部立ち入り不可。

・ハナンダ(自然橋)
白水川に架かる天然の橋。かつては生活道として使われたが、現在は保護のため車両進入不可。

・白水川の拝所
水源信仰と結びつく祈りの場。ハナンダ近くに位置する。

・クラシンジョウ壕
巨岩周辺に掘られた戦時遺構で、地域の戦争史を伝える場所。

現地の空気

玻名城之殿は、観光地ではなく「地域の人が静かに祈る場所」。
そのため、訪れると次のような印象を受ける。

・林に包まれた柔らかな薄暗さ
・風と鳥の音だけが響く静寂
・古い集落信仰がそのまま残る素朴な神聖さ

海側の玻名城ビーチが「秘境の海」なら、玻名城之殿は「陸側の玻名城の原風景」といえる。

玻名城之殿(はなぐすくねとっん)の看板

グスク時代から琉球王国時代においては、10村落を創設する時には、かならず、自分達の祖先の人達(祖先神)やさまざまな神々を招き入れて、共同祭祀を行う場所を設けた。
それがその村落の殿である。
玻名城之殿は、先史時代から現在の多々名城の城内にあった玻名城集落が、グスク時代に、この殿が存在するこの玻名城古島はの地に集落移動した時に建立された殿である。建立年代は、十二世紀の後半から十四世紀の前半の間と考えられる。
玻名城集落の人々は、旧暦六月十五日の稲大祭(ルクグワチウマチー)、この玻名城之殿で集落をあげて共同祭祀を行い、集落や集落民の安泰を守護し、諸作物の豊作をもたらしてくれた神々に感謝するとともに、これからの集落や集落民の安泰と、諸作物の豊作を祈願した。

令和四年六月
八重瀬町教育委員会

玻名城之殿(はなぐすくぬとっん)

玻名城之殿(はなぐすくぬとっん)

名所 玻名城之殿(はなぐすくぬとっん)
住所 〒901-0512 沖縄県島尻郡八重瀬町具志頭
駐車場 なし

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