リュウキュウヤマガメ(りゅうきゅうやまがめ)

リュウキュウヤマガメ(りゅうきゅうやまがめ)

リュウキュウヤマガメ(りゅうきゅうやまがめ)

天然記念物のリュウキュウヤマガメ

リュウキュウヤマガメは沖縄諸島の沖縄島、渡嘉敷島、久米島だけに分布する地上性のヤマガメの仲間です。近似種は中国大陸南東部からベトナムにかけて知られていますが、南西諸島や台湾などには分布していないため、リュウキュウヤマガメは遺存的な種類だと考えられていて、1975年には国の天然記念物に指定されています。
甲羅の長さは70~150mm、甲羅背面の地色は茶褐色で3本の隆起があり、各隆起には黒色の筋が走ります。腹面は黒色から暗褐色で、全体に黄色の縁取りがあります。
常緑広葉樹の自然林や回復の進んだ二次林の湿った林床に見られ、とくに渓流沿いを好んで生息します。同じ林内でも乾燥した環境にはほとんど見られません。野外での目撃例は4~9月に集中しますが、詳しい生態や生活史は不明です。雑食性で植物の実、ミミズ、昆虫類、陸産貝類などを食物としています。
分布する3島のいずれの個体群も、資料不足のため具体的な個体数は不明ですが、沖縄島では、1970~1980年代には名護市南部や今帰仁村を含む本部半島でも目撃例がありましたが、2000年代以降は名護市北部から大宜味村以北の地域に限られ、分布範囲が明らかに縮小していると考えられています。おもな減少の原因は森林伐採と河川開発による生息域の縮小で、また林道開発による生息域の分断と、側溝への墜落死も大きな影響を与えています。さらに、沖縄島では林道開設によって、天敵となるマングースや野生化したノイヌ・ノネコが生息地に容易に侵入し、リュウキュウヤマガメの生存にとって大きな脅威となっています。

昭和47年5月15日に指定されたセマルハコガメとは異なり、背甲は低く、背甲と腹甲は固着し、体色は黄褐色をしたヤマガメである。半水生でミミズや地中に住む昆虫類のほか植物の芽や種実を食うことが知られているが詳細な習性等は知られていない。
 生息地は、沖縄本島北部、渡嘉敷島および久米島の森林地帯で、この地域の特産の亜種である。近縁の亜種は中国南部、マレーシアに産するが、台湾では産しない。
 動物分布上貴重な種であるが、最近、愛がん用として捕獲され商取引きの対象とされているので、地域を定めず指定するものである。

リュウキュウヤマガメは、沖縄本島北部や渡嘉敷島、久米島だけに分布しているヤマガメの仲間で、日本の固有種とされている。
背甲は長い楕円形で、色は茶褐色や黄褐色、暗褐色などをしている。
また、背甲には3本の隆起があり、各隆起には黒色の筋が見られる。
腹面は黒色や暗褐色で、外縁は黄色で縁取られている。
頭部は褐色や暗褐色、橙色などで、黄色や赤っぽい斑がある。
四肢や尾は褐色や暗褐色などで、四肢にも黄色や赤っぽい斑があるものも見られる。
リュウキュウヤマガメは、低地から山地にかけての森林や二次林などに生息しているが、乾燥した森林などではほとんど見られない。
渓流沿いなどの水辺周辺で多く見られ、湿った環境を好む傾向がある。
詳しい生態などは分かっていないが、昆虫類やミミズ、カタツムリなどのほか、木の葉や芽、果実などの植物質のものも食べるとされている。
また、4~9月にかけては活発に活動し、気温の下がる冬季には動きが鈍くなり、岩穴や岩の割れ目、倒木の下などで休んでいることが多いと言われている。
このほか、リュウキュウヤマガメは近年の森林や河川などの開発によって生息域が減少し、それに伴って生息数も減少している。
リュウキュウイノシシやマングースなどによる捕食も挙げられるが、林道による生息域の分断なども生息数を減少させていると言われていて、現在、リュウキュウヤマガメは環境省のレッドリストに絶滅危惧種(VU)として指定されている。
1975年からは国の天然記念物にも指定されていて、国際自然保護連合のレッドリストにも絶滅危惧種(EN)として指定される状況にもなっている。
尚、リュウキュウヤマガメは、かつては東南アジアに分布しているスペングラーヤマガメ(Geoemyda spengleri / Black-breasted leaf turtle・Vietnamese leaf turtle)の亜種(Geoemyda spengleri japonica)と考えられていたが、現在は独立種として扱われている。

黒~茶褐色で緩やかなドーム状の甲羅に、赤味の強い顔をもつ、甲長15cmほどのカメ。甲羅に3本の目立つ隆起線があり、くちばしは先端がかぎ状に曲がる。沖縄島、久米島および渡嘉敷島のみに分布する固有種で、山地の林床に生息する。雑食性でミミズ、カタツムリ、昆虫などを食べる。国指定の天然記念物であり、沖縄県レッドデータブックで絶滅危惧I類、環境省レッドリストで絶滅危惧II類に指定されている。(撮影者/青柳克)

天然記念物(てんねんきねんぶつ)とは?

「文化財保護法」では,「動物,植物及び地質鉱物で我が国にとって学術上価値の高いもの」のうち、重要なものとされています。
天然記念物は、日本列島の成り立ちを示す地質現象や、過去の生物の姿を知ることのできる化石、日本列島の生物地理学的な特性を示す固有種等の動植物などで、日本列島がたどってきた「自然史」としての意義を持っています。さらに、人がかかわり、作り上げた自然、すなわち巨樹、ホタルなど日本人の自然観の形成に寄与したものや、並木、家畜・家禽など、人がかかわって作り上げたものなどで、私たちと自然との親密さを物語る「文化史」としての意義も持っています。
天然記念物を守ることは、地域の自然とそれにまつわる文化を守ることであり、天然記念物の価値を明らかにして生かすことで、人々の自然観や地域とのつながりを育むことができます。

天然記念物は、貴重な大自然を記念するもので獣や鳥、昆虫などの「動物」、樹木や草花などの「植物」、断層や化石などの「地質・鉱物」、そして、それらに富む天然保護区域を指します。

名所 リュウキュウヤマガメ(りゅうきゅうやまがめ)
ヤンバルガーミー、ヤマガーミー、ガーミー
科名 イシガメ科
学名 Geoemyda japonica
英名 Ryukyu black-breasted leaf turtle / Ryukyu leaf turtle
分布域 沖縄本島、渡嘉敷島、久米島
管理団体名 史跡名勝天然記念物

国頭村(くにがみそん)のおすすめスポット


沖縄天然記念物&生物・植物のおすすめ

コメントを残す


error: